歳を取る毎に少しずつ現れてくる認知症の症状。言葉は違いますが、症状としてはどちらも言われたことを忘れる、何度も同じことを繰り返して言う、言われたことを覚えられないなど、コミュニケーションをとるのに必要な要素が欠けていくことが挙げられます。介護をしていてこれらが欠けていると、自分も相手も中々上手く思いが伝わらずもどかしい気持ちになってしまいます。例えば、「何時に出かけるから準備しておいてね」と、伝えても出かけることすら覚えていられず、「そんなこと言っていないじゃない!」などと、相手は言われていないと意見を突き通すようなことも。そうなると、「こっちは介護してあげているのに…」という気持ちが出てきてしまいます。しかし、認知症の症状がある人は、自分がそんなことになっているとは思っていません。自分は正常だと思っています。そのため、「さっき言ったじゃない!」などと言っても、反感を買うだけという状況になるのは珍しいことではないのです。
では、そのような状況に陥った時どうすれば良いのでしょうか。それは、何度も何度も同じことを繰り返し伝えるしかありません。それも、初めて伝えたかのように言うのが大切です。そうすれば相手も言われる度に、そっか出かけるのか、という思いを新しい気持ちで持ち続けることができます。介護とは、精神的にも忍耐的にもとても労力のいることです。しかし、全くとれないコミュニケーションはないということを頭に入れて接していればその気持ちも少し楽になるかもしれません。